気鋭の醸造家、ドメーヌ・ショオの小林英雄さんが、自社以外でセレクト。いま、日本ワインで選ぶならこの4本

自然派ワインの担い手として話題!新潟『ドメーヌ・ショオ』の醸造家、小林英雄(こばやしひでお)さんに、自社以外でおすすめの日本ワイン4本を選んでもらいました。

新潟ワインコーストの注目株『ドメーヌ・ショオ』。自然に醸造したワインに、ユニークな感性を反映させて。

日本ワインの新たな銘醸地として注目を浴びている「新潟ワインコースト」。1990年代に『カーブドッチ・ワイナリー』が設立されたのをきっかけとして、海と砂に囲まれたこの地に、いくつものワイナリーが誕生しました。『ドメーヌ・ショオ』は、小林英雄(こばやしひでお)さんが、妻のみさとさんと共に、2011年9月にオープンさせたワイナリーです。"ドメーヌ"はフランス語でワインの醸造所の意、"ショオ(Chaud)"はオーナーである小林夫婦の「小(ショウ)」から名付けられています。さらに"ショウ"には、フランス語で「熱い」や「情熱的な」という意味もあります。可能な限り自然なブドウ栽培を目指し、土を柔らかく保つために、できるだけ人力で作業。除草剤は使わずに、ブドウをとりまく畑という環境の生態系を豊かにし、その自然の生命力をすべて詰め込んだワイン造りを目指しています。醸造に際しても「自然に醸造する」ということを大切に、ブドウの個性を一番に考え、あるがままの流れにまかせて、ワインになるまでの経過を見守るというスタンスです。「自然に出来上がったワインは優しく浸みわたり、瑞々しい旨味に溢れる」という持論のもと、「1人1本飲める」ような旨味のあるワイン造りを続けています。

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農学を修め、海外での生活も長かった、『ドメーヌ・ショオ』の小林さんが選んだ4本に共通する魅力とは?

「この4本の共通点は、どれも優しい液体であることです。テーマとしては、僕の当初からのワイン造りのテーマでもある「1人1本飲める」ということ。最近、より魂を込めて「誰かの心に引っかかる液体」をテーマとして意識しています。喉に引っかかっちゃいけない。心に引っかかってよ。これがめちゃめちゃ思っていることですね。今回選んだワインはどれも、僕の心には引っかかりました。喉には全く引っかからないのにね。で、ここもますます私見ですが、誰かの心に深く強く引っかかるものって、万人の心には引っかからないんですよね。それがいい。好きそういうの。引っかからないのは、それに何もないか、自分がそのステージにいないか。これは評論家の小林秀雄がいったことですが。求美心ですね。良いか悪いかの判断は、自分と向き合ってすることなんですよね。だから、感じに行ってほしい。なにも引っかからなければそれでいいし。趣味でなければ、それでいいじゃないかと。批判と否定からは何も生まれないです。僕はとにかく争いが嫌いで、戦争が嫌いで、この世から無くなればいいのにといつも思っています(ずっと中東にいて湾岸戦争もろ食らったので)。自分の理解の範疇にない、知らない、趣味じゃないというのを否定、批判していては争いになってしまう。幸せになるためにある液体じゃないですか(笑)。感じていきましょうよ。今回選んだ4本からは、自分の大好きな優しさ、許容力、意志の強さを感じました。液体からいろいろ感じて、ご本人に会いにいきやすいのも日本ワインの魅力ですよね(小林さん)」。

写真左から:
PON FRAIS CHIC brut 2021/3,300yen(税込)
2020 いっかく (アッサンブラージュ)/4,950yen(税込)
imagine 2021/4,400yen(税込)
2020 ぴのろぜ (こことあるシリーズ )/3,740yen(税込)

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小林さんおすすめ① 造り手の人柄も感じて選んだスパークリングワイン『PON FRAIS CHIC brut(ポン フレ シック ブリュット) 2021』。

「お人柄がよく出ている液体だと思います。丸い。柔らかくて優しい。ずっと飲んでいられる。どの場面でも飲める。けど、やっぱり楽しい味わいなので、気の置けない仲良し達とわいわい飲みたいなと思います。ホームパーティーなど、皆で集まって楽しい会話と一緒に。ぜったい美味しい。何気ない最高の時間に寄り添う、包容力のある丸くて柔らかい液体だと思います。ぜひわいわい飲んでみてください」。

福山わいん工房[広島]
PON FRAIS CHIC brut 2021/3,300yen(税込)

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小林さんおすすめ② 尽きせぬ魅力、日本のオレンジワイン『2020 いっかく (アッサンブラージュ)』。

「面白くて興味の尽きない液体。これも人柄が出ていると思います。一見、何もしない見守り系の造りと思いきや、めちゃめちゃ緻密に計算して手をかけている。造り手が秀才なんだと思います。いっぱい考えている。各品種ごとに特性を考えて、比率や温度帯や、皮の扱い、あれこれそれと。ひとつずつ粒だたせてまとめてる。点描のような印象を受けました。オレンジワインに興味のある方はぜひ、この日本ワインのオレンジを飲んでみてほしいです(小林さん)」。

カーブドッチ・ワイナリー[新潟]
2020 いっかく (アッサンブラージュ)/4,950yen(税込)

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小林さんおすすめ③ 言葉を失い、涙を誘う。造り手を感じる赤ワイン『imagine(イマジン)2021』。

「これは本当に人を感じました。目黒さん(※)です、これ。驚きました。しばらく言葉を失い、本当に涙が出てきた。言葉にできないくらい優しい。本当に、めちゃめちゃ優しい。それでいて、芯があって、意志を感じる。魅惑的で透き通っていて不思議な霊力すら感じました。なんでも受容する懐の深さと包容力があって、それでいて弾ける意志の力強さもある。二律背反を感じさせるとんでもない液体でした。ああ。ワインって人が造るんだな・・・と泣けますよ(小林さん)」。
※目黒さん:『Fattoria AL FIORE(ファットリア アルフィオーレ)』醸造家の目黒浩敬(めぐろひろたか)氏

Fattoria AL FIORE[宮城]
imagine 2021/SOLD OUT

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小林さんおすすめ④ 優しくて柔らかく、甘やかで自由なロゼワイン『2020 ぴのろぜ (こことあるシリーズ )』。

「『ココ・ファーム・ワイナリー』さんのワインは学生の時からずっと飲んでいて、収穫祭にも毎年いっていました。アカデミックな造りのワインが多い印象で好きなのですが、このピノは驚きでした。優しい。柔らかい。甘やかで自由。そう、なんて自由なんだろうと感じました。液体が溶けて染みていく感じで、好きです。我ながら、あ~こんな液体が好きだな~と、再確認。日本っぽいなと思いました。水彩画のような、あやふやであいまいな魅力。ぜひ外国の力強さとは違った強さを感じていただけたらなと思います(小林さん)」。

ココ・ファーム・ワイナリー[栃木]
2020 ぴのろぜ (こことあるシリーズ )/3,740yen(税込)

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ドメーヌ・ショオ
新潟県西蒲区角田浜:Kobayashi Winery株式会社

ドメーヌ・ショオ(Domaine Chaud)は、フランス語でワインの醸造所を意味するDomaine(ドメーヌ)とオーナーである小林夫婦の「小(ショウ)」から名付けられた小さなワイナリーです。2011年9月、海と砂に囲まれた日本ワインの新たな銘醸地「新潟ワインコースト」に設立されました。Chaud(ショオ)にはフランス語で「熱い」や「情熱的な」という意味があり、小林夫妻の熱い心でブドウ栽培やワイン造りがおこなわれています。ドメーヌ・ショオでは、土から考えて可能な限り自然な栽培を目指し、「1人1本飲めるワイン」をテーマに、ワインだけでも、料理と合わせても、飲みやすく飲みあきない、「瑞々しい旨味=植物、果実の持つ旨味=ダシ感」のある優しく気持ちのよい香りと味わいのワイン造りを続けています。

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品種で選ぶと、日本ワインはもっと楽しい!
ブドウ品種別ガイド

ブドウ品種で選べば、日本ワインがもっと楽しくなる。日本固有種から欧州系品種まで、品種ガイドと、ワインエキスパートおすすめの銘柄を紹介します。

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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